社会保険労務士とは Q&A

社会保険労務士とはどんな人をいうのか?

社会保険労務士とは、
(1)社会保険労務士法にもとづいて厚生労働大臣が実施する年に一度の社会保険労務士試験に合格するとともに、
(2)2年以上の労働社会保険諸法令(健康保険法、厚生年金法、雇用保険法など)に関する実務経験のある者で、全国社会保険労務士会連合会に常備されている社会保険労務士名簿に登録された者をいいます。

いつできたのか?

1968年に始まります。それまで厚生労働省(当時厚生省)の社会保険関係の事務を代行する社会保険士と、労働省の労働関係の事務代行を行う労務管理士に分かれていたのが、「社会保険労務士」という名称のもとに一つになりました。1968年は、社会保険労務士法が制定された年です。

なぜできたのか?

労働者の人権を守るためという理由が一つです。(※1を参照のこと)
もう一つは、労働社会保険関連の諸法令がスムーズに運用されるためです。
戦後、民主的な労務管理のありかたが見直されて、労働基準法をはじめとするいろいろな法律ができ、全国的に労務管理に関する相談、指導の仕事が増え、また事務手続きを代行する人々が現れてきました。はじめは税理士、行政書士などの有資格者、労務コンサルタント、労務士などの肩書を名乗る人々がこの任にあたりました。
そのうち不当に高額の報酬を請求する、ストライキに介入する、労務管理士会を名乗る団体が乱立するなどの弊害が起きたため、この業務を法制化し、労務管理士にきちんと国家資格を与えることで混乱をなくし、サービスの質と信頼の向上をはかる措置がとられたことから、「社会保険労務士」という職業が誕生しました。

※1・・・1946年に公布された日本国憲法の25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。さらに、同条二項に「国は、すべての生活面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められ、国が責任をもって国民皆保健、皆年金をめざしてきました。また、27条「すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負う」で国民の働く権利が保障され、第二項で「賃金、就業時間、休息、その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」として、働く条件の整備がはかられてきました。

どれくらいいるのか?

全国で3万398人(平成18年4月現在)います。

どんな働き方があるのか?

「勤務」社会保険労務士と「開業」社会保険労務士の二形態あります。具体的には、企業の総務課、人事課、労務課などに属しながら社労士としての役目を果たす道、そしていくつもの企業の顧問になり、代行業務や相談・指導の仕事にあたる道と、いずれかを選択することになります。

どんなことをするのか?

  • 会社から役所に提出する書類(各種社会労働保険申請書など)の作成業務(1号業務)
  • 事業主に代わって申請書や届出書などを行政機関に提出する代行業務(2号業務)
  • 事業主を相手とした「相談、指導」つまりコンサルティング業務(3号業務)

あつかう内容はどんなものなのか?

労働基準法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、介護保険法等に関する書類の提出。
労働保険、社会保険の加入や脱退、給付、助成金請求。休業補償、出産手当、傷病手当金の請求。労働者名簿、賃金台帳、就業規則の作成。賃金・退職金、労働時間、福利厚生、人事、教育訓練、安全衛生管理などに関する相談と指導。
労働基準監督署、社会保険事務所、会計検査院等の行う調査の立会、交渉や助成金の申請を行うこと。

  • 労働基準法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、介護保険法等に関する書類の提出。
  • 労働保険、社会保険の加入や脱退、給付、助成金請求。休業補償、出産手当、傷病手当金の請求。労働者名簿、賃金台帳、就業規則の作成。賃金・退職金、労働時間、福利厚生、人事、教育訓練、安全衛生管理などに関する相談と指導。
  • 労働基準監督署、社会保険事務所、会計検査院等の行う調査の立会、交渉や助成金の申請を行うこと。

求められる適性とは何か?

人のためになる仕事ですから、人に喜ばれることをするのが好きな人、感謝されることが仕事のやりがいにつながる人が向いているといえます。
従業員の身になれると同時に、経営者の気持ちもわかってあげられることが大切です。
また、企業の経営全体をみてとる広い視野も必要になってきます。

開業して安定収入を得ることは可能か?

勤務社労士の収入形態は、サラリーマンと変わらない給与になりますが、開業社労士では、顧問報酬、手続き報酬、人事労務管理報酬、相談報酬などの形になります。
このうち顧問報酬の占める割合が一番大きく、企業と契約を結ぶことで確保します。
何社ものしっかりした会社と契約ができれば、顧問報酬により、安定した収入が約束されますが、ふつうは開業して数年間は、まだまだ収入は不安定な状態であることが多いのも事実です。