労災事故に関しては、当事者同士が感情的になってしまうケースが多いのですが、これは双方が自分の利益ばかりを優先するあまり、事実関係を都合のよいように歪曲し強弁を行ったり、法を度外視して詭弁を弄したりするからです。
事故の責任の所在が明らかになり、事件に関わる人々が共通の認識をもって事に当たることさえできれば、解決に向けて大きく一歩を踏み出すことができます。
そのために第三者として社会保険労務士が果たす役割は非常に大きいといえます。
Case1 外国人労働者と労災事件かつてこんな稀なケースに遭遇したことがあります。
外国人労働者が古家の解体作業中に二階建ての建造物が倒れてきたのです。
ふつうなら逃げるだろうと考えられますが、この人は責任感からか倒壊してきた壁を支えようとしたので、脊柱を痛める重傷を負いました。そこにモーターバイクがあったおかげで、崩れかかってきた壁に潰されないで済みました。
この場合、一言でいえば「安全配慮義務違反」です。
つまり、事業主に責任があります。
そもそも事故が起きないように事業主が安全設備の充実と整備に努めることが法規上義務として要求されているわけです。
社会保険労務士としては、こうした場面でこそ正しく法令を用い、問題解決に役立てる立場に立つ必要があるのはいうまでもないことです。
事業主としても、「労災かくしは犯罪である」ということを肝に銘じて法令を遵守し、その後の事業発展のためにも、社会保険労務士の力を借りつつ誠意をもってことに当たることをお勧めしています。